旅は続くよ、人生へ。 | 活字 & 映画ジャンキーのおたけび!

旅は続くよ、人生へ。

【モーターサイクル・ダイアリーズ(映画)】

<2004年・アメリカ他>
●監督/ウォルター・サレス
●出演/ガエル・ガルシア・ベルナル、ロドリゴ・デ、ラ、セルナ 他


キューバの革命家、チェ・ゲバラの
若き日の旅をつづったロードムービー。
個人的には学生時代、日本史を専攻していたことも
あり、このチェ・ゲバラという人については、
名前ぐらいしか知らなかった。

医学生のゲバラは、友人とのバイクの相乗りで
南米縦断の旅に出る。
悪天候やバイクの故障など、
幾多のトラブルを乗り越え、つかのまの
ロマンスをも育みながら、バイクは走る。
旅を通して、さまざまな人々の暮らし、
そして、その中にある苦しみに触れたゲバラは、
次第にこれからの自分の生きる道を模索する
ようになる…。

前半と後半で、ガラリと空気が変わる。
最初は、ただの脳天気な野郎2人の、
お気楽バイク旅行という感じで、
画面もひたすら明るい。
いく先々で、ナンパする女の子ともあっという
間に仲良くなって
「おいおい、うまくいきすぎだろ!」
とつっこみたくなるほど。
しかし後半になると、持病のぜんぞくの発作で
死にそうになったり、ハンセン病の施設を訪ね、
患者と交流したりと、かなり重い色合いが
濃くなっていく。

この旅が、何かの目的があって始められたものでは
ないのだろうが、結果として、それは革命家、
ゲバラの誕生の転機をもたらせた。
流れる風景とともに、ロードムービーが描くのは、
そういった主人公の心の軌跡だ。
しかしこの映画にあっては、その変化がどうも
くっきりと見る方に伝わってこない。
まあ、向かうべき新しい人生の入り口に
主人公が立ったところで物語は終わるわけだから、
それも致し方ない面もあるが、
これは日記が原作というのもあるかしれない。
何となくエピソードが切れ切れで、
散漫な印象がするのだ。
事実に忠実に作ったというところだろうが、
欲をいえば、もう少し映画的でドラマチックな
脚色があってもいい気がする。

それでも、マチュピチュやインカの遺跡、
アンデスの雪山など、歴史と自然に彩られた南米の
景色を満喫できるのは、理屈ぬきに楽しい。


■個人的ハマリ度 ★★★(★5つが最高)
アミューズソフトエンタテインメント
モーターサイクル・ダイアリーズ 通常版