森の中に、うごめくもの。 | 活字 & 映画ジャンキーのおたけび!

森の中に、うごめくもの。

【クライモリ(映画)】

<2003年、アメリカ・ドイツ>
●監督/ロブ・シュミット
●出演エリザ・デュシュク、デズモンド・ハリントン 他


森の中に迷いこんだ、若い男女のグループが、
正体のわからぬ何者かに次々と殺されていく。
と書くと、何やらありがちなホラーを想像する
だろうが、まさにその通り!
この映画、設定や展開は、
お約束のオンパレードなのだ。

「悪魔のいけにえ」「13日の金曜日」
映画の空気は、そんな名作ホラーに近い、
というより、明らかにリスペクトしてるのでは、
という場面もある。
しかしそれらとちょっと違うのは、冒頭で、
謎の者の正体をにおわせているところだ。
しかしこれ、テレビではある理由で
放送できないかもしれない。

お約束というのは、製作者側は百も承知で、
その点は割り切って創っているのだろう。
その代わりにこだわったのは、恐怖の見せ方だ。
無気味に広がる森のイメージを伝える
ふかんのショットの活用、
滝の裏側に隠れたかと思えば、木の枝を伝っての逃走、
また展望台によじ登ったりと、
「森」という舞台をフルに使った演出が
ふんだんに盛り込まれていて、
展開はオーソドックスながら、「おっ!」と
新鮮な印象を受ける。
R-15指定ということで、けっこうグロいシーンも
あるので、苦手な人は要注意。

ただ、テンポよく見れるのはいいんだけど、
もうちょっと怪物の背景や、心情が描かれていれば、
ドラマとしての深みも出たと思うんだけどなあ。
そういうのはこの手の映画には余計なんだろうか。

「狩られる側」の恐怖を、
シミュレーションしたい方には、おすすめ。


■個人的ハマリ度 ★★★(★5つが最高)
 
ジェネオン エンタテインメント
クライモリ デラックス版