シンデレラには役不足? | 活字 & 映画ジャンキーのおたけび!

シンデレラには役不足?

【シンデレラマン(映画)】

<2005年、アメリカ>
●監督/ロン・ハワード
●出演/ラッセル・クロウ、レネー・ゼルウィガー 他


アカデミー賞に輝いた「ミリオンダラー・ベイビー」
に続いて公開されたボクシング映画。
モデルとなった実在のボクサーを
ラッセル・クロウが熱演。

時代は、世界大恐慌のまっただ中の
1920年代後半から30年代。
かつてスターボクサーだったジム・ブラドックは、
恐慌の影響もあって引退をよぎなくされ、
肉体労働で家族を養っていたが、
日々の食ベ物にも事欠くありさま。
そんな彼に、カムバックのチャンスが舞い込む。
家族のために、自らの誇りのためにリングに上がった
ブラドックは勝利を重ね、やがて世界チャンピオン
との試合に挑む…

家族愛にアメリカンドリームとくれば、
まさハリウッド映画の王道。
ああ、ええ話や~というのが率直な感想だ。
ボクシングシーンも、かなりトレーニングを
積んだことがわかる、シャープな動きで見れる。
音楽を抑えて、ボクシングそのものの音で
リアリティを追求したつくりも、迫力を生んでいる。

でも…何か物足りない。
どこかで見たようなシーンが多く、オリジナリティ
という点で弱いと言わざるを得ない。
ミリオンダラーは女子ボクシングというだけで、
新鮮な面もあったが、
本作の場合、これという売りがない。
実在の人物をモデルにした映画の場合、
いつも思うことだが、ストーリーにウソを
つけないという制約があるためか、
起伏が少ない、平板なものになりがちだ。
アメリカ人の中で、このブラドックというボクサーが
どれほど親しまれている存在なのか知らないが、
ほとんど予備知識のない日本人が見た場合
「ああ、家族思いで、頑張ったボクサーなんだなあ」
という程度で、それ以上の感情移入は難しい。
映画の主人公に取り上げるほどの、
魅力ある人物には映らないのだ。

いい映画なのはまちがいないが、
「シンデレラマン」というタイトルから予想した
劇的な人生ほどのインパクトはなかった。


■個人的ハマリ度 ★★★(★5つが最高)
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
シンデレラマン