姉と妹、女と女。 | 活字 & 映画ジャンキーのおたけび!

姉と妹、女と女。

【何がジェーンに起ったか?(映画)】

<1962年、アメリカ>
●監督/ロバート・アルドリッチ
●出演/ベティ・デイビス、ジョーン・クロフォード 他


名作として名高い作品。
今回はじめて見て、女優ふたりの怪演に圧倒された。

子役スターのジェーンは、自分がモデルの人形も
売り出されるほどの人気者。
一方、その姉のブランチはスポットライトを浴びる
妹をくやしげに見ていた。
しかしそれから数十年が経ち、立場は逆転。
ブランチは名女優の地位を確固たるものとし、
ジェーンは大根役者としてバカにされていた。
そんなある夜、ブランチは、ジェーンの運転ミスで
下半身不随のケガを負い、車イスでの生活を
よぎなくされる…

2時間以上ある映画のほとんどが、姉妹が暮らす
家の中のシーンなんだけど、これが全然退屈しない。
カラダの自由にならないブランチに、
ねちっこくいやがらせを続けるジェーン。
子供の頃の栄光が忘れられず、再び舞台に上がる
日を妄想する姿は、見ていてゾッとするほどの
狂気を感じさせる。
一方、姉のブランチは、ジェーンの仕打ちに怒り、
耐えながらも、壊れていく妹をどこかで案じている。
その姿は姉妹の争いであると同時に、
女同士の情念の衝突でもある。

エスカレートしていくジェーンの行動が
ある悲劇を生む。
ふたりの行きつく先にあるものとは…

ラストに衝撃の真実が明かされ、
印象的なシーンで映画は幕を閉じるのだが、
なんとも言えない、せつない印象を受けた。
姉と妹、兄と弟は、いちばん近いものである
だけに、時に憎悪の対象ともなる。
だがそうであっても、
その絆を完全に断つことはできない。
この映画が描こうとしているのは、
絶望の中にあって、かすかに見える希望
ではないだろうか。


■個人的ハマリ度 ★★★★(★5つが最高)
ワーナー・ホーム・ビデオ
何がジェーンに起ったか?