ジャパンバッシングから、ジャパンナッシングへ。 | 活字 & 映画ジャンキーのおたけび!

ジャパンバッシングから、ジャパンナッシングへ。

【小泉純一郎と日本の病理(本)】 

●著者 :藤原肇
●出版社:光文社(2005.10 発行)
●価格 :¥1,000


横組な上に、日本語の中に英単語も混ざった文章、
ペーパーバックス的なシンプルな製本、
過剰なつくりが目立つ昨今の出版物の中にあって、
かえって新鮮な印象を受ける本だ。

中身は、歴史的な衆院選の大勝を受け、まさに
今ピークにある、小泉純一郎という男が
何者なのか、これまで表には出てくることの
なかった驚きの事実をちりばめながら、
日本の明日に警鐘を鳴らすというものだ。

祖父から父、そして純一郎へと受け継がれる
小泉家の血脈。郵政民営化にかける決意の陰には
小泉家三代に渡る夢があった。
純一郎がロンドン大学へ留学した真の理由とは?
大手マスコミは決して報じない女性関係に親子関係。
陰の総理の異名をとる、秘書である実姉の存在。
田中真紀子更迭の真相。
酔っ払いが外交していると言われる、その実像とは?
など、かなり刺激的な内容が揃っている。

まあどんなものでも、突出し過ぎると、それに反する
力が出てくるのは世の常。ここに書かれていることが
100%事実とはもちろん言えないだろうが、
物事を多面的に見るための、ひとつのものさしとしては
非常に興味深いものであることは間違いない。

個人的にはいちばん印象に残ったフレーズは
「ジャパンナッシング」。
かつてバッシングの対象だった日本は、
もはやたたく意味もなく、世界から何の関心も
持たれない、からっぽな状態なのだと作者は語る。
そしてその空洞状態をさらに広げていこうと
しているのが、今の小泉政権なのだと。
経済、憲法、軍備、さまざまな面において、
重大な転換点にある日本のこれからを考察するには
格好の一冊だろう。


■個人的ハマリ度  ★★★★(★5つが最高)
藤原 肇
小泉純一郎と日本の病理 Koizumi's Zombie Politics