北の果てに咲く、人情の花。 | 活字 & 映画ジャンキーのおたけび!

北の果てに咲く、人情の花。

【網走番外地(映画)】

<1965年、日本>
●監督/石井輝男
●出演/高倉健、嵐寛寿郎 他


先日死去した石井輝男監督と
高倉健が組んだ人気シリーズの第一作。

網走というと刑務所というイメージが
あるのは、この作品の影響が大だろう。
公開時は別の作品と2本立てで、こっちは
サブ扱いだったのに、あまりの評判に
シリーズ化が決定したのだとか。
僕ははじめて見たのだが、なるほど、
納得のおもしろさだ。

ヤクザ者の橘真一は、対立する組の者を殺めた
罪で、網走刑務所に送られてきた。
数年後、真一はムショ仲間と脱獄を企てる。
その裏には、田舎に置いてきた母への
悔恨と愛があった。
もうひとりの囚人と手錠がつながったまま
雪の大地へと飛び出した真一を、
厳しい試練が待っていた…

見る前は、重く暗い映画なのではと思って
いたが、そんなことはなく、
何か飄々とした空気が流れている。
囚人たちの会話やムショ内の様子など、
けっこう笑いどころも多い。
それ故、脱獄してからのアクションシーン
とのメリハリが効いて、一層効果的だ。
カーチェイスならぬ、トロッコチェイスや
列車で手錠を切断するシーンなど、
カメラアングルを含め、すごい迫力。

しかし、それだけではない。
真一の母や妹への思い、逃亡仲間との対立と友情など
喜怒哀楽、人間のあらゆる感情が絶妙にブレンド
されていて、ただおもしろいだけでなく、
この映画のテーマが、実はかなり奥深いもので
あることに気づくのだ。
人間って、なんかいいな。
すがすがしい余韻とともに、ふとそう感じた。


■個人的ハマリ度 ★★★★(★5つが最高)
東映
網走番外地