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頭の中をハマショーがグルグル

【渋谷ではたらく社長の告白】  

●著者 :藤田 晋
●出版社:アメーバブックス(2005.3.31発行)
●価格 :¥1,680


記念すべき一冊目は、このアメーバブログの
開設元でもある、サイバーエージェント、
藤田晋社長の最新作。

藤田社長が、会社設立に至る経緯~現在までの
激動の道のりをつづった告白本である。
話題になっていたので読んでみたが、
いやーこれがアツい!アツすぎる!
仕事への尽きることのない情熱、ネットバブル
の崩壊、業績低下への激しい非難、仲間との
身を切られるような決別、そして、
生涯の伴侶との運命的な出会い…。

まだ30代前半の社長だが、人の何倍にも
値する凝縮された人生を歩んでいるのに
驚かされる。
そしてそのエネルギーを生み出しているのが、
「21世紀を代表する会社を作る」という夢。
一見青くさく感じる言葉だが、その壮大な
思いがあればこそ、多々の苦しみにも耐え、
また喜びにも我を忘れず、前進できたのだろう。

そして、この本を読んでいた僕の頭の中に
鳴っていたのが、
浜田省吾の「悲しみは雪のように」。
90年代前半のドラマ「愛という名のもとに」の
主題歌として大ヒットした名曲で、30代以上
の人ならご存知の方も多いのではないだろうか。
いまや巨匠の野島伸二が脚本を担当したドラマは、
大学のボート部の仲間たちが社会に出て
夢と現実のギャップにもがき苦しみながらも、
愛と友情を取り戻していくという内容で、
当時僕は熱中して毎週ビデオに録って
何度も見ていた。特にチョロというキャラが
自殺してしまうシーンはショックを受け、
今でもその時感じた寂しさは
胸に残っているほどだ。
唐沢寿明や鈴木保奈美、江口洋介など、
思えばキャストもすごく贅沢だった。

本書を読んでいて、このアツくて、ちょっと
切ない空気が何かに似ていると思って、
すぐに浮かんだのがこのドラマ、
そしてバックに流れるハマショーの曲だった。
そう、この本は僕にとっては、
ビジネス書なんかではなく、
光と影に彩られた青春群像ドラマなのだ!

社長が奥菜恵と結婚すると知って、
彼女のファンだった社員が「会社を辞める!」
と言ったというエピソードは笑えるが、名作
「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」
の彼女に心奪われた僕にとっては、
その気持ちがわからなくもない。(笑)

何かの岐路に立っている人、
人生の選択を迫られている人はもちろん、
夢に向かって歩んでいる全ての人に
おすすめである。


■個人的ハマリ度  ★★★★★(★5つが最高)


著者: 藤田 晋

タイトル: 渋谷ではたらく社長の告白